メッセージ
ERSのミッション
ERSのコアコンピタンスは、ECに関する緻密な業務モデリングとアプリケーションアーキテクチャの設計にあります。
そして、そのスキルを活用したコアビジネスはEC構築フレームワークの開発です。ECサイトそのものを運用するわけではなく、個々のECシステムを直接に構築することでもなく、それらに通底すべき共通の基盤技術を提供することです。2020年代に入っていよいよ社会における存在感を増す華々しいショッピングサイトの数々の、舞台裏の縁の下といったところが我々のフィールドです。
ですから、このページをいまご覧になっているあなたはきっと、ECでショッピングを楽しむユーザーではなく、ECの運用あるいは構築、導入パッケージの選定を担う立場にあられるのではないでしょうか。そしてもし、様々な業界誌や展示会等のイベントで多くのECパッケージやサービスをご存知であれば、その中に我々の社名も製品名もまったく見覚えがないということにも気づかれるかも知れません。大事な事業を行うためのECシステムに、実績も不確かなパッケージを導入して大丈夫なのだろうか。少しスクリプトを書けるエンジニアが請け負いのWeb開発案件でカートを作り、「せっかくだから横展開しよう」などと考えて適当な名前を付けて売っているだけではないのか・・・?そう思われるかも知れません。そう思われても、まったく無理のないことです。むしろ合理的とさえ言えます。
我々ERSは知名度は低く歴史は短い、それは間違いありません。ですがERSのコアメンバーは、10数年、あるいは20年以上、EC業界の一線で活躍してきた実績があります。これは単に「エンジニアや営業としてEC業界に身を置いていた」という程度の意味ではありません。名ばかりのプロジェクトマネージャーで経歴書に案件名を連ねているわけではないですし、全体最適の責務を放棄して「ご要望の設計通り」のコード書き続けてきたプログラマでもなく、耳障りのよい概算見積もりで売上だけ作っていたセールススタッフでもありません。多くの著名なECサイト構築現場の文字通りの最前線で、技術・経済の両面において責任のある立場として問題解決に尽力してきました。数多くの成功事例、そしてその裏側の困難と問題点、時には手ひどい失敗を、当事者として子細に観察してきました。
「要件が悪い」「お客のリテラシーがない」「そもそも予算が足りていない」そういった開発サイドのお馴染みの言い訳には、しかし根拠がないわけではありません。一方でもちろん、「最初に言っていた費用と違う」「出来ると言ったことなのに出来ない」「そもそもシステム屋は運用業務の必然性も苦労もわかってくれない」そうした発注側の主張も、(残念ながら)多くの場合、事実を指摘しています。ECシステムの構築現場には、それが原則的に商業で利益を得るためのツール開発であるために経済合理性を追求しなければならず、かつ運用者は同業者とのコスト競争に晒されているという特徴があります。一方でECシステムはしばしば関連する外部システムのハブとして様々な要件・仕様のギャップを吸収しなければならず、運用要件もシステム要件も外部の不確定要素に干渉される結果、不測のコストが開発側に生じやすいという傾向もあります。そうした背景によるプロジェクトへのストレスは、しばしばプロジェクトの後半にシビアな課題となって表出し、運がよければ不満と後悔に満ちたサービスローンチとなり、不幸な場合ならば「デスマーチ」が始まります。
我々は、EC専業のパッケージベンダーとして長らく得た知見を礎に、エンジニアとして何が出来るか。EC構築におけるシステム発注・受注者双方を、「こんなはずではなかった」という失望からどうすれば救えるか。
EC構築の中でもとりわけ困難な現場を、衝突と諦めの場から、ディスカッションと突破の達成感に溢れた場に変えるためにERSは設立されました。我々の作品はフレームワークであり、プログラムです。開発工程で言えば「最下流」で実装されるソースコードこそがERSのバリューを担っています。プログラムは「言葉」で記述するもの。それも、曖昧なごまかしや忖度が通用しない、この上なく貧弱にして厳密な人工言語で記述するものです。だからこそ、プログラムを雄弁に設計することで、ECシステムの運用者と開発者の間にあるどうしようもない文化的ギャップを超えるための共通言語たり得ると、我々は考えています。共通の言葉が定義されることは誤解のないコミュニケーションの大前提であり、コミュニケーションの最適化こそが困難なEC構築への処方箋です。ERSでは、我々が長年観察してきたECドメインの知見をDDD(Domain Driven Design)の手法でソフトウェアに反映することで、ステークホルダーの共通認識の礎となるユビキタス言語の構築を促し、不確定要素を制御可能とします。
我々は占い師ではありませんので安易に大成功を約束することはしません。少しのお金を払えば誰でも導入できる仕組みで誰でも売上が3倍になるかのような不合理なことを謳いません。しかし我々は、我々のシステムの利用者に、困難な課題に立ち向かうための強力なツールを提供します。
さて、ECシステム構築が建設的に行われ、十分なサービスがローンチするということは、社会の経済活動に新たなエネルギーが与えられるということに他なりません。人々はより広く便利に効率的に、モノやサービスを売り・買い、その結果として社会のあらゆる部分が動き、活性化します。経済活動は人々の営みにおいてもっとも重要かつ普遍的な要素のひとつであり、その健全な発展は人間社会そのものの発展とも言えます。極端に言えば、経済が行き詰まれば争いや飢餓や戦争が起きます。つまり、経済とは人間らしい生活そのものです。そして現代においてそれを支えるものがECです。オムニチャネルという言葉がEC業界に提起されて久しいですが、これは単なるマーケティング上のコンセプト以上のものを含意します。ECは経済においてますますその重要性を高め、その結果は企業の組織とそれをとりまく社会を変容させます。同じく、通信デバイスの普及などの社会基盤の発展もまた企業・組織を変容させ、それに応じてECは変革を促されます。技術・システムの発展は、ECというドメインに介在することで、極めて基本的な経済活動に直接的な変容を迫り、社会をより良く変えていくということです。
そのようなECシステムの構築に皆様がチャレンジする時に、我々の技術がお役に立てば幸いです。
ERS